台風19号で被害にあってもサーバーダウンさせなかった現場に学ぶ

かつてないほどに大規模に被害を残した台風19号とその後の水害、土砂災害。もはやインフラと化したIT業界でもサーバーダウンさせないために裏で大勢の人が調整をしていました。今回は台風被害に伴うIT分野への影響と、現場でどうしたら良いかを学びます。

 

目次

10月12日に起き始めた被害

主に携帯電話の回線で不通になる被害が15日当たりまで起きていました。伊豆あたりの不通から始まり、1都5県に影響が出て、停電解消とともに電話の不通、電波障害も解消されていきました。主に停電によるものなため、現場ではどうしようもないというのは本音でした。

 

対策:自家発電装置を導入しておく

回線、サーバー、通信網では、停電してもしばらくは予備電源に切り替えて稼働させ続けることができます。もちろん、環境構築し、導入できていればの話ですが、よほど大規模な現場で、絶対にダウンさせられない現場でなければ予算も割いてもらえないでしょう。

 

今回の台風19合で悲惨だったのは停電だけではなく、浸水害があった点です。サーバーはその性質上、地面に直に設置していることが多いため、数十cm浸水するだけでも致命的です。しかもきれいな水ではなく、下水や汚水を含むような土砂混じりの水だった場合は清掃の関係上、サーバールームそのものがだめになる可能性さえあります。

 

地震対策のために端末をあまり高いところに置かないという工夫をしていたところもあるでしょうから、揺れからも水からも端末を守らないといけないというコスト増大は今後避けられなくなりました。

 

工場や製造業に大打撃

今回の台風19号は備えていて人的被害が防げても、設備の損害までは防げないレベルでした。堤防が多数決壊してしまってはもう対策の内容がありません。家の2階まで水がやってくるようなところもあり、食肉加工会社や自動車整備工場、新幹線の施設、各企業の事務所やコンビニのATMなども被害にあっています。

 

IT業界では過電流、雷、地震、水と災害系の被害に弱いので今回はかなりの打撃があった状況です。本来、海外ではこうした部分は国が国家予算を割いて補償するものですが、日本では残念ながら自己責任、企業の責任という部分が大きく、復旧にはかなり時間がかかります。熊本も福島も国など当てにできないレベルで、未だに復旧できていないです。

 

こうした環境的にも政治的にも最悪な状況では、一度被災した所から全て総入れ替えするのは現実的ではありません。修理もできず、再導入するしかないため、個人商店や地域の中小企業ではかなりの大幅赤字、一時的な出費となります。当然、こういう時にはIT系の目に見えない部分はおろそかにされるため、セキュリティも不十分な設備がしばらくは運用されていくでしょう。

 

公的HPのサーバーダウン対策

発災時には公的組織のサーバーダウンは死活問題になります。官公庁、特に、民間に対して発表、更新を行うようなサイトは、日本で被災していても稼働し続けてくれるようなサーバーを選ばないといけません。かといって、AmazonはAWSの劣化や品質低下、信頼低下であまり頼りたくないというのが本音でしょう。

 

海外サーバーにHPを設置するとそもそも表示が遅く感じることも多いため、クラウドフレア・CDN系を活用して利便性を高めるのが良いでしょう。また、アプリを使用してアクセスできる入り口を減らすのも賢い選択でした。

 

アプリで必要な人のみに情報を

今現在、地域の防災アプリが多数配信されています。市町村単位で防災アプリや気象情報アプリが提供されているため、これらをインストールしていた人は、インターネットの検索経由ではなく、アプリ経由で直接情報を受信できるということで利便性が高まりました。

 

通知で強制的に情報をロック画面に出せるようにしておいてくれれば、自分でスマホをいじってアプリを開かなくても最新の警報や注意報を確認できます。被災中や、避難行動中にはスマホを眺めている、操作している余裕がないので通知でパッと情報を見れるのは大いに役立ちました。

 

定番!海外サーバーでダウン対策

国内が被災してもなんとかなるように、海外のサーバーを利用してダウンしないようにする方法も取られています。よくある方法ですが、情報を届ける途中(都道府県や市町村など)が停電していれば当然意味がなくなるため、大きな水害、停電がある時にはこの方法も役に立たない可能性があります。

 

サーバーが生きていても、情報を受信するユーザー側の環境、市町村レベルでの寸断、被災があるとどうしようもありません。4G回線で接続できればまだましですが、速度制限を受けると情報が入らない上に、速度制限を解除するための課金の手続きが複雑だと手続きできない可能性もあり、非常に不親切で不便です。

 

これが5G導入などでもっと分散されていると復旧にかかるコストはさらに増えてしまうでしょう。こうした自然災害が起こる可能性を考慮すると日本で5G導入は一定のリスクがあるかもしれません。海外サーバーを利用すればなんとかなるというレベルではないこともあるので、インフラ系のサイトを運用している場合は、十分すぎるほどの対策が必要です。

 

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